------------------「建築に夢をみた」原文--------------------
ひるがえって現代の住まいはと言えば、そのほとんどは合理性、機能性を第一とする近代的思考のもとにつくられたものです。
技術の進歩、社会制度の発達によって、それらは近代以前の住居とは比較にならぬほどに便利で快適なものとなっています。また誰もが同じような快適さを求めたがために、地域による差異のない、画一的な住環境が世界中に形成されています。
しかし、便利であることが、すなわち豊かなことなのでしょうか。
そしてまた、近代に生まれたいわゆる近代建築が描いた理想とは、現代あるような無個性で、ただ経済効率のみから生産される商品のような住まいの在り方だったのでしょうか。私には、そうは思えません。
人間の魂の拠り所となるべき住まいが、商品であって良いわけはなく、また今世紀につくられた近代住宅建築の名作の数々は、決して無批判に教科書通りつくられたものではない。
未来への夢が託されたつくり手の精神の葛藤の末に生み出されたものでした。
建築を始めて以来、これまで<住まい>という主題は、私にとって常に思考の根幹となるものであり、またこれからもそうあり続けるものです。
住まいこそが、私の建築の原点なのです。
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>人間の魂の拠り所となるべき住まい
→確かに、意識していなくとも
住まいとはそういうものだと感じますね・・・